香港でペーパーカンパニーを維持する年間維持費シミュレーション

世界を見据えたビジネス展開を考える際、香港に会社を持つことは魅力的な選択肢ですが、中でも現地での実質的な事業活動は行わないペーパーカンパニーとしての会社設立は、その低い法人税率や比較的簡便な手続きのおかげで、特に注目されています。しかし、ペーパーカンパニーという形であっても、香港の法律に従って会社を健全に維持していくためには、必ずいくつかの年間維持費が発生します。この維持費を事前に把握し、心づもりをしておくと、会社を運営し始めても慌てる事なくスムーズに進めていけますので、ここでは、香港でペーパーカンパニーを維持する年間の維持費について分かりやすく解説していきます。

まず、香港のペーパーカンパニーを維持していく上で、年間で必ずかかる基本的な費用として、政府への法定費用と、専門家へのサポート依頼費用があります。法定費用には、政府へ支払う年次報告書(アニュアルリターン)の提出費用や、会社の登録更新に関する費用が含まれます。これらの費用は全香港会社に義務付けられており、金額自体は比較的抑えられています。

そして、維持費の中で特に重要となるのが、会社秘書役(カンパニーセクレタリー)のサービスにかかる費用です。香港の法律では、会社がペーパーカンパニーであったとしても、必ず一人の会社秘書役を選任しなければならないと定められており、通常この重要なサービスは外部の専門業者に委託します。この費用は、提供されるサービスの内容や質によって幅がありますが、ペーパーカンパニーの基本的な維持に欠かせない費用として毎年予算に組み込む必要があります。また、実体のないペーパーカンパニーにとっては、会社の登録住所を維持するためのバーチャルオフィスや、大切な郵便物を受け取るための転送サービスの費用も、必須の年間維持費となります。

次に、香港のペーパーカンパニーの維持費を考える上で、最も費用に影響を与えるのが会計・税務関連の費用です。たとえ実質的な事業活動がないペーパーカンパニーであっても、香港の会社は税務申告を行う必要がありますし、原則として公認会計士による会計監査を受けることが義務付けられています。

ただし、ペーパーカンパニーの場合、事業活動が極めて限定的であるか、あるいは売上がほとんど発生していないというケースが多いかと思います。このような会社には、Dormant Company(休眠会社)として登録する選択肢や、税務申告の際にOffshore Claim(オフショア免税申請)を行う選択肢があります。休眠会社として認められれば、会計監査の義務を免除されることが多いため、年間維持費を大幅に節約できます。ただし、休眠会社と認められるための条件は厳しく、少しでも活動があれば対象外となるため注意が必要です。また、オフショア免税申請が認められた場合、手続き自体に専門家への費用はかかりますが、香港での法人税(利得税)の負担が免除されるため、ペーパーカンパニーの維持費の観点からは非常に大きなメリットとなります。ですので、ペーパーカンパニーの維持費は、この会計監査や免税申請の手続きをどのように行うかによって、その総額が大きく変わってくることを念頭に置いておきましょう。

さらに、ペーパーカンパニーを維持し続けるということは、香港の法律が定めるすべての要件を遵守し続けることを意味します。そのため、年間維持費には、これらの法的な手続きを適切に、そして滞りなく進めるための専門家への継続的な相談やサポート費用も含めて考えなくてはなりません。ペーパーカンパニーは、実態のない会社であっても、会社秘書役の設置や年次報告書の提出など、形式的な要件はしっかりとクリアしなければなりません。これらの手続きを怠ってしまうと、高額な罰金が課せられることになり、結果的に維持費が想定を大幅に超えてしまうことになりかねません。

このように、香港でペーパーカンパニーを維持するための年間維持費は、政府への費用、秘書役・住所サービス費用、そして会計・税務サービス費用の三つの柱で構成されており、特に会計監査と税務申告に関する対応によって、その総額が大きく変動します。ペーパーカンパニーを設立し、その後も安心して低コストで維持していくためには、会社の活動状況に基づき、休眠扱いにするのか、免税申請をするのかといった、適切な維持戦略を事前に専門家と相談して立てることが非常に重要となります。

香港でのペーパーカンパニーの年間維持費シミュレーションは、会社一つひとつの状況や目指す目標によって細かく変わってきます。具体的なケースに沿って、最も無理なく、法令を順守しながらペーパーカンパニーを維持していくための、最適なコスト構造を把握することが、安定的な会社運営に繋がります。時には専門家のサポート得ながら、適切な維持管理の知識を得て、香港でのビジネスを長期的に継続させるための基盤を作っていきましょう。

関連記事

TOP